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Lemondrop

ホップ

【作ってみた】レモンドロップ(2016) ブランドエールのフレーバーとアロマ

「Lemondrop − レモンドロップ(2016)」を使用したペールエールのフレーバーとアロマを知るために実際に作ってみました。あえて、他のホップと混ぜずペールエールをつくり、その特性を探ります。


The Hop Chronicles | Lemondrop (2016)

この記事は原著者(Brülosophy)の許可を得て翻訳・公開したものです。

著者: Matt Del Fiacco


フルーティホップは、ペールエールやIPAをさらにレベルアップさせるために、柑橘系の特徴を持つ品種を求める醸造家の間で、最近大流行しています。この人気の高まりを受け、ホップの育種家は世界中の醸造家と愛飲家の要求を満たすために、数年前からこれらの特徴を持つ品種を選び始めました。Lemondropは、2001年にホップシュタイナー社によって育成され、実験番号01210と呼ばれました。レモンのような独特の強い香りがすることから、この名前が付けられました。また、香りは、ミント、緑茶、そしてメロンのような香りがあり、バランスが取れていると言われています。

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成分
Alpha (α酸) 5~7%
Beta (β酸) 4~6%
コフムロン 28~34%
Oil 1.5~2ml/100g
Myrcene (ミルセン) 46%
Humulene (フムレン) 56~58%
Caryophyllene (カリオフィレン) 9.5%
Farnesene (ファルネセン) 6-7%
Linalool (リナロール) 0.4~0.6%
Geraniol (ゲラニオール) unknown
ß-Pinene (β-ピネン) unknown
Parentage (交配した二個体) Cascade and USDA 19058 male

レモンドロップの名前を初めて聞いたとき、おばあちゃんの家にあるガラスの皿に入った固いお菓子を連想して、すぐに敬遠してしまったんです。しかし、Hopsteiner社が試供品を送ってくれたので、少し調べてみたところ、Lemondropは「スーパー Cascade(カスケード)」と評され、レモンシトラス、ほのかなハーブの香りを持っていることが分かりました。このホップは、「ホップクロニクル」で紹介したいと思うほど、私の好奇心を刺激しました。

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実際に作って、ホップのフレーバーとアロマを探る

Lemondropは、レモンやハーブティーのような香りがするというコメントがほとんどです。アルファ酸の含有量が少なく、柑橘類やハーブの特徴を表現しているこの品種は、飲みやすいブロンドエールに最適だと思いました。

レモンドロップ ブランドエール

レシピの詳細

バッチ サイズ 煮沸時間 IBU 標準参照法 初期比重 最終比重 アルコール度数
5.5 gal 60 min 23.9 IBUs 4.7 SRM 1.045 1.011 4.3 %
Actuals 1.045 1.01 4.6 %

発酵させる材料

名前 %
Pale Ale Malt (Rahr) 9 lbs 96
Carafoam (Weyermann) 6 oz 4

使用するホップ

名前 時間 使い方 形状 α酸(%)
Lemondrop 23 g 20 min Boil Pellet 6
Lemondrop 47 g 10 min Boil Pellet 6
Lemondrop 62 g 1 min Boil Pellet 6
Lemondrop 62 g 3 days Dry Hop Pellet 6

使用する酵母

名前 ラボ 発酵度 温度
American Ale (1056) Wyeast Labs 75% 60°F - 72°F
15.56℃- 22.22℃

醸造メモ(水のプロファイルなど)

Water Profile: Yellow Malty from Bru’n Water Spreadsheet

レシピのダウンロード

Download this recipe's BeerXML file


まず、eBIABリグをセットして、目標の温度まで水を加熱し、その間にミネラルを加えて、望む水のプロファイルを実現しました。

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Click pic for Bräu Supply Unibräu eBIAB System review

それから、麦芽を粉砕器に移しました。

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粉砕された麦芽のバスケットをケトルにそっと入れて、ポンプを起動し、希望のマッシュの温度を、154°F/68°Cに維持するようシステムをセットする前に、生地が玉にならないよう簡単にかき混ぜました。

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マッシュレスト開始から15分後にpH測定のために少量のサンプルを採取して、確認したところ、目標値を達成できていた。

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60分のマッシュが完了した後、ケトルから穀物を取り出し、麦汁を沸騰させましたた。

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麦汁は、レシピに記載された時間に、ホップを加えて60分間煮沸した後、急速に冷却しました。

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2つの比重計を壊してしまったので、屈折計で比重を測定したところ、予想されたOGに達していました。

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11.3 Brix = 1.045 OG

その麦汁をカウンターフローチラーで、低温室にある発酵樽に移し、目標のピッチング温度である18℃まで冷やし終えました。そこで、Wyeast 1056 American Aleイーストのスターターを投入し、望みの発酵温度である19°C/66°Fに保つために、低温室を設定しました。発酵は予想通り早く進み、15日後に比重計で測定したところ、ビールは予想通りのFGに達していました。

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1.010 FG

ドライホップを添加し、48時間ビールと混ぜた後、コールドクラッシングし、ゼラチンで清澄化しました。数日後、ビールをCO2パージのサービングケグに圧送し、短時間のバーストカーボネーションを行い、その後ガスをサービングプレッシャーまで下げ、数日間冷やしてからデータを集めました。

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つくものビールの評価方法

参加者に、フレーバーを評価する前に、ビールのアロマのみに注目するよう指示しました。各アロマとフレーバーのディスクリプタ(特性などの特徴量を数字に変換したもの)については、テイスターはその特定の特性の知覚強度を0〜9の範囲で書き込むよう求められました。0はその特性を全く感じないことを意味し、9はその特性が非常に強いことを意味します。データを収集した後、各アロマとフレーバーの記述子の平均評価を集計し、分析しました。

実験結果

データ収集に協力してくれたABNormal Homebrewersに感謝!このビールの評価には合計21名が参加し、アンケートに答えるまで使用したホップの品種は伏せておきました。各ディスクリプタの平均的なアロマとフレーバーの評価をレーダーグラフにプロットしてみました。

平均的なフレーバーとアロマの評価

(平均的な香りと風味の評価)

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参加者が最も顕著であると支持した3つの特徴

アロマ フレーバー
シトラス シトラス
フローラル フローラル
トロピカルフルーツ トロピカルフルーツ

参加者が最も目立たないと答えた3つの特徴

アロマ フレーバー
オニオン/ガーリック ベリー
ダンク/キャッティ(※1) ベリー系
ベリー系 ダンク/キャッティ

参加者には、ホップキャラクターの辛味について評価してもらいました。

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They were then instructed to identify beer styles they thought the hop would work well in.

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そして、そのホップが合うと思うビアスタイルを指定するように指示しました。

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著者の感想: このTHC(The Hop Chronicle)に参加する時には、私はLemondropについて少し躊躇していたのですが、このビールの出来栄えにはとても驚かされました。柑橘系の香りはしますが、レモン(またはレモンドロップキャンディ)のような鋭い酸味や甘みは感じません。しかし、Cascadeが明らかに存在することを発見し、驚きました。Hopsteiner社がLemondropの特徴として挙げているスパイシーさやハーブの香りよりも、芳醇な花の香りの方が強いというのはテイスターと同じ意見です。全体的に、私はこの品種がCascadeに似ていながら、いくつかの独自性を持っていることを発見したので、かなり表現方法を楽しみました。次のバッチはアメリカンウィートにしようと思っています。

まとめ

Lemondropという名前だけで、このホップは何ができるのかの期待や印象にも少し影響を与えるかもしれないです。実際、参加者はアロマとフレーバーの両方で柑橘系を最も強く支持しており、それに関しては、私の個人的な経験とも一致します。興味深いことに、Marshallは昨年のホップ収穫時に木から取ったばかりのLemondropのコーンを擦ることができ、その時、アロマはかなり顕著にレモンが前面に出ていると言っていました。

いずれにせよ、Lemondropだけ使用した時でも香りを楽しむことができ、様々なスタイルで他のホップとの相性も良さそうでした。

LemondropはHopsteiner、MoreBeer、Adventures In Homebrewing、Yakima Valley Hopsから直接購入することができます。

Lemondropについて何か感想や経験があれば、以下のコメント欄で自由に共有してください。


出典元

The Hop Chronicles | Lemondrop (2016)


※ 1 牡猫の尿臭を意味していて、英語圏では肉, 乳製品, 野菜などの臭いの表現に も使用されているとのこと。 https://byo.com/article/hop-stands-2/

※2 コールドクラッシングは、発酵の次の工程にいく前に、ビールの透明度を向上させるために、伝統的に醸造家が用いてきた手法です。この工程では、発酵が完了した後、パッケージングする前にビールの温度を下げます。温度を下げることで、粒子が懸濁液から抜けるまでの時間を短縮し、見た目も味もきれいなビールを作ることができるのです
参考元: Cold Crashing - SPIKE https://spikebrewing.com/blogs/ask-a-pro/cold-crashing

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