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IDAHO 7

ホップ

【作ってみた】アイダホ 7(2020) ペールエールのフレーバーとアロマ

「Idaho 7 − アイダホ 7(2020)」を使用したペールエールのフレーバーとアロマを知るために実際に作ってみました。あえて、他のホップと混ぜずペールエールをつくり、その特性を探ります。


The Hop Chronicles | Idaho 7 (2020) Pale Ale

この記事は原著者(Brülosophy)の許可を得て翻訳・公開したものです。

著者: Mike Neville


アイダホ州ワイルダーのジャクソン農場が2015年に発売した「IDAHO 7」は、豊富なオイル含有量で、ビールにピリッとしたタンジェリン、トロピカルフルーツ、松、紅茶の心地よいブレンドを寄与すると言われています。

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成分
Alpha (α酸) 9.5-14.9%
Beta (β酸) 3.5~5.0%
コフムロン 30-40%
Oil 1.0-2.0mL/100g
Myrcene (ミルセン) 45-55%
Humulene (フムレン) 10~20%
Caryophyllene (カリオフィレン) 6-10%
Farnesene (ファルネセン) > 1%
Linalool (リナロール) > 1%
Geraniol (ゲラニオール) > 1%
ß-Pinene (β-ピネン) > 1%
Parentage (交配した二個体) unknown

私はこれまで何度かIDAHO 7を他の品種と組み合わせて使ってきたが、このホップの使用経験は概ね肯定的でした。

実際に作って、ホップのフレーバーとアロマを探る

いつものように、標準的なHop Chronicles Pale Aleのレシピで、苦味を抑えるためにケトルホップの添加を少し調整しました。

Idaho 7 Pale Ale

レシピの詳細

バッチ サイズ 煮沸時間 IBU 標準参照法 初期比重 最終比重 アルコール度数
5.5 gal 60 min 35.6 IBUs 3.9 SRM 1.059 1.008 6.69 %
Actuals 1.059 1.008 6.69 %

発酵させる材料

名前 %
Brewers Malt 10 lbs 83.33
Vienna Malt 2 lbs 16.67

使用するホップ

名前 時間 使い方 形状 α酸(%)
Idaho #7 7 g 45 min Boil Pellet 12.5
Idaho #7 7 g 15 min Boil Pellet 12.5
Idaho #7 14 g 10 min Boil Pellet 12.5
Idaho #7 28 g 5 min Boil Pellet 12.5
Idaho #7 57 g 2 min Boil Pellet 12.5
Idaho #7 57 g 4 days Dry Hop Pellet 12.5

使用する酵母

名前 ラボ 発酵度 温度
Flagship (A07) Imperial Yeast 77% 32°F - 32°F

醸造メモ(水のプロファイルなど)

Water Profile: Ca 125 | Mg 20 | Na 8 | SO4 310 | Cl 56

レシピのダウンロード

Download this recipe's BeerXML file


水を全量入れ、目標のプロファイルに調整し、加熱した後、麦芽を計量し、粉砕しました。

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水を適切に加熱した後、麦芽を入れ、理想の糖度温度である152°F/67°Cを維持するようにコントローラーを設定しました。

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マッシュレスト中に、ケトルホップの添加を準備しました。

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60分間のマッシュが完了したら、麦芽を取り出し、レシピに記載されている時間通りにホップを加えながら60分間煮沸を進めました。

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煮沸が完了したら、Hydra ICを使って、麦汁を素早く冷やしました。

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屈折計で測定すると、麦汁は目標のOGに達していました。

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14.5 ˚Bx = 1.059 OG

消毒した発酵槽に麦汁を移した後、Imperial Yeast A07 Flagshipのシングルパウチを直接ピッチングしました。

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このビールを68°F/20°Cで1週間発酵させた後、比重計でFGに達したことを確認しました。

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1.008 FG

発酵が完了したビールを24時間コールドクラッシングした後、CO2を充満したケグに移し、ケグの中で一晩炭酸を発生させてから、ガスをサービングできる圧まで下げました。 1週間の調整後、ブラインドテイスターに提供する準備が整ったのです。

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つくものビールの評価方法

参加者に、フレーバーを評価する前に、ビールのアロマのみに注目するよう指示しました。各アロマとフレーバーのディスクリプタ(特性などの特徴量を数字に変換したもの)については、テイスターはその特定の特性の知覚強度を0〜9の範囲で書き込むよう求められました。0はその特性を全く感じないことを意味し、9はその特性が非常に強いことを意味します。データを収集した後、各アロマとフレーバーの記述子の平均評価を集計し、分析しました。

実験結果

このビールの評価には合計20名が参加し、全員がアンケートに答えるまで使用したホップ品種を知らせませんでいた。各ディスクリプタの平均的な香りと風味の評価をレーダーグラフにプロットしました。

平均的なフレーバーとアロマの評価

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参加者が最も顕著であると支持した3つの特徴

アロマ フレーバー
シトラス シトラス
トロピカルフルーツ トロピカルフルーツ
ストーンフルーツ ストーンフルーツ

参加者が最も目立たないと答えた3つの特徴

アロマ フレーバー
タマネギ/ニンニク ダンク/キャティ
ダンク/キャティ タマネギ/ニンニク
スパイシー/ハーバル アーシー/ウッディー+ベリー(タイ)

ホップの辛味/強さを評価してもらいました。

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そして、テイスターに、そのホップがよく合うと思うビールのスタイルを指定するようにお願いしました。

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最後に、参加者にホップ特徴をどれだけ楽しめたかを1〜10で評価してもらいました。

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著者の感想: このビールはフレーバーとアロマの両方でオレンジの柑橘類とパイナップルの大きなノートがあると感じました。また、松の木と紅茶の香りが口の中に少し残りました。ホップクロニクルで醸造を始めてから味わったシングルホップビールの中で最も良いビールの1つでした。

まとめ

しかし、アイダホ州のジャクソン農場は、ビールにフルーティーな風味を与えることで知られる「Idaho 7」を初めて発売し、ホップの生産地として知られるようになりました。

既存のディスクリプタを裏付けるように、Idaho 7だけでホッピングしたペールエールを評価した人たちは、シトラス、トロピカルフルーツ、ストーンフルーツのアロマとフレーバーの特徴を最も高く評価し、オニオン/ガーリックとダンク/キャティは最も低い評価を得ました。さらに、テイスターの大半がこのホップの辛味を強いまたは極端であると評価しており、これは多くの人がこのホップがホッピーIPAに最も適していると感じていることを説明していると思われます。

このビールを評価してくださった方々と同じように、私もIdaho 7の特徴をとても楽しみ、これまでホップクロニクルで作ったシングルホップビールの中でベストの1つだと思います。ホップアップしたスタイルを作るときに他のホップと組み合わせて使い続けると思いますが、将来的にこのホップ単体で醸造することは間違いないと思います。

daho 7はYakima Valley Hopsで販売中です。この品種について何かご意見がありましたら、以下のコメント欄でお気軽にお寄せください。

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出典元

The Hop Chronicles | Idaho 7 (2020) Pale Ale


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