ホップ
【作ってみた】ギャラクシー(2015) ペールエールのフレーバーとアロマ
「Galaxy − ギャラクシー(2015)」を使用したペールエールのフレーバーとアロマを知るために実際に作ってみました。あえて、他のホップと混ぜずペールエールをつくり、その特性を探ります。
The Hop Chronicles | Galaxy (2015)
この記事は原著者(Marshall Schott)の許可を得て翻訳・公開したものです。
Author: Marshall Schott
Galaxyは、パッションフルーツ、ピーチ、シトラスなどの強い香りが特徴で、世界中のプロやホームブルワーに愛用されているホップです。残念ながら、Galaxyは現在オーストラリアでしか栽培されていないため、醸造家が手に入れるのは難しい品種です。
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成分 | 値 |
---|---|
α酸 | 12~16% |
β酸 | 5~7% |
コフムロン | 32~42% |
トータルオイル | 3~5ml/100g |
ミルセン | 33~69% |
フムレン | 1~2% |
カリオフィレン | 7~9% |
ファルネセン | 2~4% |
リナロール | 0.2~0.6% |
ゲラニオール | 0~0% |
β-ピネン | 0.6~0.9% |
交配した二個体 | male Perle crossed with female tetraploid (J78)(雄株「ペルレホップ」と雌株「4倍体」(J78) ) |
実際に作って、ホップのフレーバーとアロマを探る
Galaxyホップへの人気が高まっていることを考えると、シングルホップビールにGalaxyホップを使うことや、ブラインドテイスターがどう評価するのかが、かなり楽しみでした。
使用したホップの特徴を発揮するために、2種類のベースモルトのみを使って、Galaxyを複数回添加した、基本的なアメリカンペールエールのレシピで醸造し、クリーンなエールの酵母で発酵させました
ギャラクシー ペールエール
レシピの詳細
バッチ サイズ | 煮沸時間 | IBU | 標準参照法 | 初期比重 | 最終比重 | アルコール度数 |
---|---|---|---|---|---|---|
5.5 gal | 60 min | 87.4 IBUs | 3.5 SRM | 1.052 | 1.009 | 5.7 % |
Actuals | 1.052 | 1.015 | 4.9 |
発酵させる材料
名前 | 量 | % |
---|---|---|
Pilsner (2 row) (Gambrinus) | ||
(ピルスナー) (二条大麦) (Gambrinus) | 6 lbs | 54.55 |
Pale Malt, Maris Otter | ||
(マリスオッター) | 4 lbs | 36.36 |
Carapils (Briess) | 1 lbs | 9.09 |
使用するホップ
名前 | 量 | 時間 | 使い方 | 形状 | α酸(%) |
---|---|---|---|---|---|
Galaxy | 28 g | 60 min | First Wort | Pellet | 16.8 |
Galaxy | 14 g | 10 min | Boil | Pellet | 16.8 |
Galaxy | 14 g | 5 min | Boil | Pellet | 16.8 |
Galaxy | 60 g | 3 days | Dry Hop | Pellet | 16.8 |
使用する酵母
名前 | ラボ | 発酵度 | 温度 |
---|---|---|---|
Safale American (US-05) | DCL/Fermentis | 77% | 59°F - 75°F(15℃ - 23.89℃) |
レシピのダウンロード
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醸造するときには、まず初めに水を満杯に張り、ストーブに乗せて目標の温度まで加熱するところから始めます。その間に麦芽を計量して粉砕しました。
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水が目標の温度になったところで、冷えたMLT(マッシュタンラウタータンク)に移し、目的の温度にするために、麦芽をかき混ぜました。
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60分のプロテイン・レストの間、2,3回ほど、マッシュをよくかき混ぜました。
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今回、Chapman UniVessel Brew Tankを使った初めてのバッチになります。このタンクはボイルケトルと発酵容器を兼ねた便利なものです。マッシュ(プロテイン)レスト完了後、sweet wort(ホップを加える前の糖化過程で生成された麦汁)を適量集めました。
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そして、Chapman UniVessel Brew Tankをストーブの上に置き、1時間かけて、レシピ通りのタイミングでホップを加えながら、素早く沸騰させました。
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煮沸が終わったら、15分間のホップスタンド(※1)を行ってから、地下水温より何度か暖かい温度まで麦汁を冷やしました。
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比重計で測定したところ、目標のOG1.052を達成しました。
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麦汁はまだ私の好みより温かかったので、UniVesselを密閉して、冷却室に移し、一晩かけて冷却をしました。翌日、イーストを投入ます。
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その晩、エアロックの中の活発な動きに気づき、発酵が始まったことが分かりました。 翌週には活動が鈍くなったので、初期比重計で測定したところ、FGが1.015でした。 この数値は少し高いように感じたので、さらに3日間寝かせて再度測定したところ、やはりFGは1.015でした。しかし、見た目も味も良かったので、コールドクラッシュ(※2)し、ゼラチンで仕上げた後、ケグに入れました。
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炭酸ガスを発生させた後、数日間keezer(キーザー)で圧力をかけると、ビールは透明で炭酸ガスを発生し、サーブする準備ができました。
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つくものビールの評価方法
参加者に、フレーバーを評価する前に、ビールのアロマのみに注目するよう指示しました。各アロマとフレーバーのディスクリプタ(特性などの特徴量を数字に変換したもの)については、テイスターはその特定の特性の知覚強度を0〜9の範囲で書き込むよう求められました。0はその特性を全く感じないことを意味し、9はその特性が非常に強いことを意味します。データを収集した後、各アロマとフレーバーの記述子の平均評価を集計し、分析しました。
実験結果
このビールの評価には合計20名が参加し、全員がアンケートに答えるまで使用したホップ品種(今回は、GALAXY)を知らされていませんでした。各ディスクリプタの平均的な香りと風味の評価をレーダーグラフにプロットした。
平均的なフレーバーとアロマの評価
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参加者が最も顕著であると支持した3つの特徴
アロマ | フレーバー |
---|---|
シトラス系 | シトラス系 |
トロピカルフルーツ系 | トロピカルフルーツ系 |
ストーンフルーツ | フローラル |
参加者が最も目立たないと答えた3つの特徴
アロマ | フレーバー |
---|---|
オニオン/ガーリック | ベリー |
スパイシー/ハーバル | オニオン/ガーリック |
ベリー系 | スパイシー/ハーバル |
このホップの辛味の強さを評価してもらったところ、ほとんどの参加者がかなり強いと感じました。
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そして、テイスターに、そのホップとよく合うと思うビールのスタイルを指定するように指示しました。
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最後に、参加者にこのホップの特性の満足度を1〜10で評価してもらいました。
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著者の感想: 南半球産のアロマホップは、私の心の中で特別であり、私が作ったホップフォーカスなレシピが、オーストラリアからやってきた、この伝説的ルプリンチャンプをどう表現してくれるのか、とても楽しみにしていました。しかし、その期待は裏切られることはなかったです。繊細な味覚の人には少し物足りないかもしれないが、私にとっては完璧でした。トロピカルフルーツと柑橘類の香りして、さらに、フレーバーも同様に感じました。松脂のような香りとダンク(catty dankness)な感じ(※3)がうまく調和しているが、私は香りと後味に草(※3)のようなものを感じました。もし、私が見せ物としてこのビールを作るなら、魅力的でシンプルなマリスオッターとピルスナーはいつも通り粉砕して、よりクリーンな苦味のホップを使い、Galaxyはボイルしている後半のタイミングとドライホップの添加のために使うと思います。
まとめ
このホップに対する今回の参加者の反応から、Galaxyは宣伝通り、大きなフルーツ爆弾であるという評判にふさわしいと言わざるを得ません。柑橘類、パッションフルーツ、ピーチ、マンゴーの香りは、自宅で熟した果物のバスケットのように感覚を支配し、見知らぬ遠い国からグラスで運ばれてくる。Galaxyは苦味の強いホップではないような気がしますが、ピンチの時に使う分にはあまり心配はいらないでしょう。このビールは、シトラやモザイクのような現代的なホップと同じような特性を持ち、人々を喜ばせるものでした。大きく、大胆で、独特な風味を持つGalaxyは、きっと多くの飲用者に好かれるでしょう。
Galaxyホップを使用したことのある方は、ぜひ下のコメント欄で感想や経験をお聞かせください!。
出典元
The Hop Chronicles | Galaxy (2015)
※ 1 ホップスタンドとは、ホップのアロマやフレーバーをより高める方法として、ビールの火入れ時にホップを投入し、冷やす前に麦汁と長く接触させておく方法があります。 この方法はホッピーなビールを造るクラフトブルワーに人気があり、近年ではホームブルワーの間でも使われることが多くなってきています。
参考元: Hop Stands - brew your own https://byo.com/article/hop-stands-2/
※2 コールドクラッシングは、発酵の次の工程にいく前に、ビールの透明度を向上させるために、伝統的に醸造家が用いてきた手法です。この工程では、発酵が完了した後、パッケージングする前にビールの温度を下げます。温度を下げることで、粒子が懸濁液から抜けるまでの時間を短縮し、見た目も味もきれいなビールを作ることができるのです。
参考元: Cold Crashing - SPIKE https://spikebrewing.com/blogs/ask-a-pro/cold-crashing