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CITRA LUPOMAX(2021)

ホップ

【作ってみた】シトラ ルポマックス(2021) ペールエールのフレーバーとアロマ

「Citra LUPOMAX − シトラ ルポマックス(2021)」を使用したペールエールのフレーバーとアロマを知るために実際に作ってみました。あえて、他のホップと混ぜずペールエールをつくり、その特性を探ります。


The Hop Chronicles | Citra LUPOMAX (2021)

この記事は原著者(Brülosophy)の許可を得て翻訳・公開したものです。


2007年にHop Breeding Companyから発売されて以来、Citraは、ビールに好ましい柑橘類やトロピカルフルーツの特徴を与えるとともに、しっかりとした苦味を持つ、最も称賛されるホップ品種の1つとなっています。John I. Haasは、この人気品種をLUPOMAXバージョンにすることで、ブルワーがビールに加える植物性の物質を減らしながら、水準を落とさずに辛味を持たせることができました。

https://i0.wp.com/brulosophy.com/wp-content/uploads/2022/06/Citra-Lupomax_THC.jpeg?resize=620%2C126&ssl=1
成分
α酸 18%
β酸 4.2%
コフムロン 20-24%
Oil 2.7mL/100g
ミルセン 60-70%
フムレン 7~12%
カリオフィレン 5-8%
ファルネセン < 1%
リナロール 0.6-0.9%
ゲラニオール 0.3-0.5%
β-ピネン 0.7-1%
交配した二個体 Hallertau Mittelfruh, US Tettnang, EKG, Brewer’s Gold, unknown varietal

シトラホップをこよなく愛し、何百ものビールで使用してきた私は、HaasがLUPOMAXバージョンを作っていると知って興奮し、すぐにオリジナルの2020年発売の一袋手に取りました。Covid-19の最初の隔離が始まったときに、評価できる状態のビールを用意していたので、最終的にそのバッチに頼ってロックダウンを乗り切ることができました。2021年のロットがリリースされると、私は興奮しながらThe Hop Chroniclesで使用するために、1袋を手に入れました。

実際に作って、ホップのフレーバーとアロマを探る

このバッチは標準的なHop Chronicles Pale Aleのレシピで、適度な苦味にするためにケトルホップの添加を少し調整しました。

Citra LUPOMAX Pale Ale

レシピの詳細

バッチ サイズ 煮沸時間 IBU 標準参照法 初期比重 最終比重 アルコール度数
5.5 gal 60 min 36.5 IBUs 5.7 SRM 1.054 1.013 5.38 %
Actuals 1.054 1.013 5.38 %

発酵させる材料

名前 %
Pale Ale Malt 2-Row 10 lbs 83.33
Vienna Malt 2 lbs 16.67

使用するホップ

名前 時間 使い方 形状 α酸(%)
Citra LUPOMAX 8 g 30 min Boil Pellet 18
Citra LUPOMAX 10 g 15 min Boil Pellet 18
Citra LUPOMAX 14 g 5 min Boil Pellet 18
Citra LUPOMAX 56 g 2 min Boil Pellet 18
Citra LUPOMAX 56 g 4 days Dry Hop Pellet 18

使用する酵母

名前 ラボ 発酵度 温度
Flagship (A07) Imperial Yeast 77% 32°F - 32°F

醸造メモ(水のプロファイルなど)

Water Profile: Ca 92 | Mg 1 | Na 10 | SO4 153 | Cl 50

レシピのダウンロード

Download this recipe's BeerXML file


まず、醸造するための水を全量入れて、目標プロファイルに調整することから始めました。

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それから、ROウォーターを温めるためにコントローラーのスイッチを入れて、麦芽を軽量して粉砕しました。

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水を適切に加熱した後、麦芽を取り入れ、ケトルホップの添加を準備する前に、糖化温度を理想的な温度として、152°F/67°Cに維持するようにコントローラーを設定しました。

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60分間のマッシュレスト完了後、麦芽を取り出し、レシピに記載された時間通りにホップを加えながら麦汁を煮沸しました。60分の煮沸の後、CFCを使い、消毒した発酵槽に麦汁を移し替えながら冷やしました。

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屈折計で測定すると、麦汁は目標のOGに達していました。

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13.3 ˚Bx = 1.054 OG

次に、Imperial Yeast A07 Flagshipを1パウチ、麦汁に直接投入しました。

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66°F/19°Cで2週間発酵させた後、比重計で測定し、FGに達したことを確認しました。

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1.013 FG

発酵が完了したので、CO2を充満した樽にビールを移しました。

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充填された樽をkeezer(キーザー)に入れ、一晩、炭酸を発生させた後、ガスをサービス用の圧力に下げました。 1週間の調整後、ブラインドテイスターに提供しました。

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つくものビールの評価方法

参加者に、フレーバーを評価する前に、ビールのアロマのみに注目するよう指示しました。各アロマとフレーバーのディスクリプタ(特性などの特徴量を数字に変換したもの)については、テイスターはその特定の特性の知覚強度を0〜9の範囲で書き込むよう求められました。0はその特性を全く感じないことを意味し、9はその特性が非常に強いことを意味します。データを収集した後、各アロマとフレーバーの記述子の平均評価を集計し、分析しました。

実験結果

このビールの評価には合計23名が参加し、全員がアンケートに答えるまで使用したホップ品種を知らせませんでいた。各ディスクリプタの平均的な香りと風味の評価をレーダーグラフにプロットしました。

平均的なフレーバーとアロマの評価

(平均的な香りと風味の評価)

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参加者が最も顕著であると支持した3つの特徴

アロマ フレーバー
シトラス シトラス
トロピカルフルーツ トロピカルフルーツ
ストーンフルーツ

参加者が最も目立たないと答えた3つの特徴

アロマ フレーバー
オニオン/ガーリック オニオン/ガーリック
ベリー ベリー
アースィー/ウッディー メロン

ホップの辛味/強さを評価してもらいました。

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そして、テイスターに、そのホップがよく合うと思うビールのスタイルを指定するようにお願いしました。

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最後に、参加者にホップ特徴をどれだけ楽しめたかを1〜10で評価してもらいました。

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著者の感想: このビールは、私がシングルホップのシトラペールエールに期待するすべてを備えていました。なぜなら、この品種から私が愛するきっかけになった、トロピカルフルーツの香りと少しダンクな爽やかな柑橘類と、松脂のような特徴を持っているからです。さらに、LUPOMAXのフレッシュで辛みのあるホップの特徴にも感激しました。このビールは美味しいです!

まとめ

Citra HOPは、柑橘系やトロピカルフルーツのような風味をビールにもたらすことから、発売後すぐに人気を博しましたが、Haas社の新しいLUPOMAXは、醸造家が望む辛味レベルを達成しながら、より少ない使用量済むようになりました。既存の記述子と同様に、Citra LUPOMAXのみを使用したペールエールをブラインドテイスティングしたところ、シトラスとトロピカルフルーツのアロマとフレーバーの特徴が最も際立ち、オニオン/ガーリック、アーシー/ウッディ、ベリーは最も低い評価となりました。

このビールのホップの辛味は、大多数のテイスターが中程度から強いと評価しましたが、かなりの部分はマイルドであると感じました。これは、LUPOMAX製品のアルファ酸レベルが高いため、ケトルでの使用量がやや少なかったことが原因かもしれません。予想通り、ほとんどのテイスターがCitra LUPOMAXはIPAに適していると考えましたが、その他にもブロンドエール、アメリカンウィートビール、フルーツビールなどのスタイルが支持されました。

私は、販売されているIPAの中でもCitraがメジャーじゃなかった時代を覚えているほど長い付き合いですが、10年以上経った今、それ自体が「クラシック」になっていると感じています。このCitra LUPOMAX Pale Aleを飲んだとき、Citraが少量でも着香させるとお祭り騒ぎになった昔の醸造時代を思い出さずにはいられませんでした。そして、この素晴らしい品種が私の期待通りの働きをし続けるという事実が、この先何年も私をこの品種に回帰させ続けることでしょう。


出典元

The Hop Chronicles | Citra LUPOMAX (2021) Pale Ale

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