オフフレーバー
溶剤のようなオフフレーバーの原因と対策
醸造したビールに溶剤(アルコール、ガソリン)のようなオフフレーバーがする場合の症状と原因、その対策について説明します。
💡 この記事のまとめ、学べること
- 溶剤オフフレーバーには、ホット、ペイントシンナー、マニキュアリムーバー、テレビン油、木工仕上げなどのような、きついフレーバーやアロマが含まれます
- 溶剤オフフレーバーの主な原因は、酢酸エチル(エステルの一部)という化合物で、接着剤やマニキュアの除光液など家庭用溶剤にも広く使用されています
- 発酵温度が高いほど、エステルは増加するため、高温で発酵させたビールには、溶剤のフレーバーが感じられることがあります
- 溶媒のようなオフフレーバーを軽減するためには、目標のエステル生成レベルになるイーストを選び、また発酵温度が上がり過ぎないようにコントロールすることが必要です
Solvent Flavors in Beer – Off-Flavors in Homebrewed Beer
この記事は原著者(BeerSmith)の許可を得て翻訳・公開したものです。
著者: BRAD SMITH
今週は、自宅で醸造したビールに溶剤(例: アルコール・ガソリン)のようなオフフレーバーがする場合の症状と原因について説明します。一般的ではありませんが、わずかな溶剤のようなフレーバーでも、ビールの全バッチを台無しにしてしまうことがあります。
ビールにおける溶剤のオフフレーバー
溶剤オフフレーバーには、ホット、ペイントシンナー、マニキュアリムーバー、テレビン油、木工仕上げなどのきついフレーバーやアロマが含まれます。 そのフレーバーやアロマの強さは、ビールをほんのり苦くする程度から、非常に強いテレピン油のフレーバーまで、さまざまです。幸いなことに、このフレーバーは、家庭で醸造する場合には、あまり見られません。
溶剤オフフレーバーの主な原因は、酢酸エチルという化合物で、接着剤やマニキュアの除光液など家庭用溶剤にも広く使用されています。
酢酸エチルは、実は発酵中のアルコールの「エステル化」によって生成されるエステルなのです。これは発酵の非常に一般的な副産物で、酢酸トランスフェラーゼ(AAT)と呼ばれる酵素に由来するものです。AATという酵素は酵母に特異的であるが、多くのエール酵母、特にエステルを多く含むイングリッシュエール酵母と共通です。
酢酸エチルは少量であれば、多くのビールスタイルでエステルから連想される洋梨のような、フルーティーな、あるいはバラのようなフレーバーとアロマを生み出します。しかし、酢酸エチルの生産量を適切にコントロールしないと、過剰に生産され、溶剤の味と香りをもたらすことがあります。
つまり、基本的に溶剤のフレーバーは、エステル生成のコントロールができないために起こります。発酵温度が高いほど、エステルは増加しますので、高温で発酵させたビールには、溶剤のフレーバーが感じられることがよくあります。
溶媒のようなオフフレーバーを軽減するためには、目標のエステル生成レベルになる(例えば、少量の生成を目指せる)イーストを選び、また発酵温度が上がり過ぎないようにコントロールすることが必要です。 発酵槽の中心部の温度は表面よりも高いことが多いので、サーモウェルなどを使って発酵温度をモニターし、実際の発酵温度を把握するのがベストであることを覚えておいてください。
以上、溶剤のようなオフフレーバーの主な原因とその制御方法について簡単にまとめました。BeerSmith Home Brewing Blogに参加してくれてありがとうございます。私のニュースレターや ポッドキャスト (itunesや youtube、ストリーミングラジオステーションでも配信中)に登録して、自家製ビールに関するより多くの素晴らしいヒントを得てください。
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